マーケティングの外注先を、見積もりの安さで選んではいけません。私はWeb制作と集客の支援を仕事にしていて、安く作られたサイトの引き継ぎ相談を受けてきました。そこで見てきたのは、初期費用の安さが後で何倍にもなって返ってくる光景です。
引き継いだサイトが「触れなかった」話
以前、あるサイトの改修相談を受けました。前の制作者とはすでに連絡が取れず、「ここから機能を足していきたい」という依頼です。ところが中を開けてみると、WordPress(本来は更新しやすいはずの仕組み)で作られているのに、中身はHTMLが直に書き込まれた状態でした。
つまり、拡張できる前提の道具を使いながら、実際には手を入れられない作り方になっていた。結局、その要望に応えるには一から作り直すしかありませんでした(この件の詳細は引き継ぎの記事に書いています)。安く仕上げること自体が悪いのではありません。問題は、その安さが「次に触る人のこと」を切り捨てて成立していたことです。
安い見積もりは、どこを削って安いのか
安く作る方法にはいくつかパターンがあります。テンプレートやフレームワークを流用する、拡張性を考えずにその場で動く形だけ整える、セキュリティの手当てを省く——。どれも初期費用は下がります。ただ、そのしわ寄せは必ずどこかに出ます。
- 新機能を足したい段になって「高くつく」か「技術的にできない」と言われる
- セキュリティがずさんで、放置すると乗っ取りのリスクを抱える
- 管理画面が使いにくく、日々の更新が結局こちらの手間になる
共通するのは、どれも作った直後には表面化しないことです。納品時点では、どちらの見積もりも「動くサイト」に見える。差が出るのは、事業が育って「変えたくなった」ときです。
✕ 初期費用で選ぶ
納品時は安く見える
→ 拡張性・セキュリティを削って成立
→ 変えたくなった段で「高い」「できない」
→ 作り直しで結局高くつく
◯ 変更コストで選ぶ
次に触る人が拡張できる作り
→ 自分たちで更新できる管理画面
→ 事業の変化に合わせて足せる
→ 長く使えて残る
発注前に確認すべきは「変えたくなった時」のこと
だから比べるべきは、初期費用ではありません。「変更したくなったときにいくらかかるか」です。発注の前に、最低限これだけは確認してください。
- 次に別の制作者が引き継いでも拡張できる作りか(私が作るときはこれを前提にします)
- 更新を自分たちでできる管理画面になっているか
- 保守(月々の点検・バックアップ・更新)は含まれるか、いくらか
価格の相場感も正直に書いておきます。プロにホームページ制作を頼むなら十数万円〜、その後の保守は月額1.5〜3万円が一つの目安です。ここを「もったいない」と削ると、事故が起きた月に一気に取り戻される——安さは、なくなったのではなく後払いになっただけです。
安い見積もりと高い見積もりの差額は、多くの場合「あなたが将来方向転換する自由」への値段です。今いくら払うかではなく、1年後に事業が変わったとき手を入れられる作りかどうかで選んでください。
ただし、高ければ安心という話でもない
正直に言えば、値段が高いから信頼できる、という単純な話でもありません。金額の中身を説明できない制作者もいます。大事なのは価格そのものより、「なぜその値段なのか」「変えたくなったら何が起きるのか」を言葉で説明できるかどうかです。そこを濁す相手は、安くても高くても避けたほうがいい。
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