ChatGPTを導入したのに、仕事は前と変わらない——よく聞く話です。私はAI活用の相談を受ける立場ですが、「入れてみたけれど楽にならない」という声は、まったく珍しくありません。
そして原因は、たいていツールの側にありません。問題は道具ではなく、指示の設計にあります。
「楽にならない」人に共通する、二つのつまずき
現場で見ていると、つまずき方はだいたい二つに分かれます。
一つは、そもそも使い方が分かっていないこと。プロンプト(AIへの指示文)の書き方や、目的に合ったGPTの選び方が分からないまま使うので、思ったような答えが返ってきません。「いい感じにして」と一言だけ投げて、返ってきた微妙な文章を見て「やっぱり使えない」と閉じてしまう。これでは、道具の性能を試す前に終わっています。
もう一つは、その逆で出てきたものを、そのまま使ってしまうこと。AIが書いたと一目で分かる文章を、手も入れずにSNSに投稿している人が、実際に散見されます。これは楽になっているようで、実のところ「読む人に伝わらない発信」を量産しているだけです。時間は浮いても、成果は遠ざかっています。
AIは商品ではなく、武器
私はいつも、AIは商品ではなく武器だと言っています。武器は、持たせれば誰でも同じ結果を出せる道具ではありません。同じChatGPTでも、指示の出し方ひとつで、返ってくるものが別物になります。
これは「業務設計」の話とも地続きです。AIという看板から入るのではなく、何をさせたいのかを先に定義する。そこが曖昧なままだと、いくら高性能なAIでも、曖昧な答えしか返してくれません。効率化できない本当の理由は、AIの手前——人が出す指示の側にあります。
✕ 丸投げの指示
「いい感じにして」と一言
→ 前提も具体例も渡さない
→ 出た文章をそのまま使う
→ AIが書いたと一目で分かる
◯ 設計された指示
役割・前提・出力形式を渡す
→ 自社の一次情報を素材に渡す
→ たたき台として手を入れる
→ 自分の言葉に着地する
指示を設計する、四つの要素
では、具体的に何を渡せばいいのか。私が指示を組むときに入れている要素は、大きく四つです。
- 役割を与える——「あなたは〇〇の専門家として」と、立場を指定する
- 前提と背景を渡す——誰に向けた、何のための文章かを説明する
- 出力の形を指定する——文字数・構成・トーンを具体的に決める
- 自社の一次情報を渡す——ネットで拾える一般論ではなく、自分だけが持っている事実を素材として与える
四つのうち、成果を一番左右するのは最後の「一次情報を渡す」です。AIは、知らないことは書けません。あなたの現場の具体を渡してはじめて、あなたにしか書けない文章の下書きになります。
正直に言えば、ここまでやっても、最後に人が手を入れる工程は残ります。AIが出したものは、あくまでたたき台です。そのまま出さず、自分の言葉に着地させる——この一手間を省いた瞬間に、冒頭の「AIが書いたと分かる文章」に逆戻りします。
ChatGPTで業務効率化できないと感じているなら、まず疑うべきは道具ではなく指示のほうです。「指示の設計」に慣れれば、同じツールが別物のように働きはじめます。自分の業務でどう指示を組み立てるかを一緒に整理したい方は、無料相談(30分・オンライン)でお気軽にどうぞ。売り込みはしません。AIを業務に組み込む支援についてはAI・業務ツールの活用支援もご覧ください。







