経営者がSNSで顔を出すべきか迷っているなら、判断軸は「バズるか」ではありません。「商談が前倒しになるか」です。私はこれまで経営者のSNS運用を支援してきて、顔出しの本当の効果がどこに出るのかを、現場で何度も見てきました。
顔出しの話になると、多くの人が「注目を集められるかどうか」で考えます。でも、事業でSNSをやる経営者にとっての本当の効果は、もっと地味で、もっと売上に直結する場所に出ます。この記事では、その仕組みと損得を整理します。
顔出しの効果は「バズ」ではなく「会う前の信頼」に出る
顔を出して発信していると、社長本人に影響力がついていきます。ここで大事なのは、影響力の中身です。フォロワーが増えることではなく、問い合わせてくる人が、初対面なのに「あなたを何回も見ている人」になっている——これが顔出しの効果の正体です。
相手はあなたの話し方、考え方、人となりを、会う前からある程度わかっています。まだ一度も会っていないのに、片側だけは長い付き合いのような状態でやってくる。この非対称が、その後の商談の空気を大きく変えます。
結果として、商談やアポの回数が1〜2回減る
具体的な効果として、私が見てきたのは商談やアポの回数が1〜2回減るという変化です。通常なら、認知してもらい、興味を持ってもらい、警戒を解き、そのうえでようやく本題——という工程を対面で積み重ねます。顔出し発信は、この前半の工程を会う前に済ませてしまいます。
顔出しなし
会ってから人となりを伝える
→ 警戒を解くのに1回
→ 信頼づくりにもう1回
→ そこからやっと本題
顔出しあり
会う前にもう人となりを知っている
→ 警戒がほぼない状態で来る
→ 最初から本題に入れる
→ 商談・アポが1〜2回減る
商談が1回減るということは、あなたの時間とエネルギーがそのぶん空くということです。一人で営業も現場も回している経営者にとって、この工程の削減はバズの何倍も効きます。話がスムーズに進み、決まるまでが速くなります。
顔出しを始めるなら、意識すること
効果の出どころが「会う前の信頼」だとわかれば、発信でやることは決まってきます。
- 人となりが伝わる中身にする——バズ狙いの企画より、考え方や仕事への姿勢が伝わる発信を優先する
- 問い合わせに来る相手を思い浮かべて話す——不特定多数ではなく、実際に商談したい相手に向けて言葉を選ぶ
- 継続で「何回も見ている状態」をつくる——一度の露出では信頼は積み上がらない。会う前提の資産として続ける
正直な注記:全員が顔を出す必要はない
ただし、顔出しは全員に必須ではありません。立場や業種によっては、無理に顔を前に出さない判断も十分あり得ます。大事なのは顔そのものではなく、「会う前に信頼を積める発信になっているか」です。顔出しはそのための有効な手段の一つ、という位置づけで考えるのが健全だと思います。
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