「WordPressはもう古い」という声は、2026年になっても消えません。ただ私は、自社サイトのリニューアルで最新の静的サイト技術と本気で比較したうえで、あえてWordPressを選び直しました。
この記事は、その比較検討で何を見て、なぜWordPressに残したのかという実話です。「WordPressはオワコンだから作り直すべき」と言われて不安になっている中小企業・個人事業の方に向けて、道具の善し悪しではなく、自分の事業に向いているかどうかで判断する材料をお渡しします。
実例:自社リニューアルで、最新技術と本気で天秤にかけた
私はこのサイト(ryoconsults.com)のリニューアルにあたって、いわゆる静的サイト技術(あらかじめHTMLを書き出しておき、表示が速く仕組み上の弱点も少ない作り方。Astroなどが代表的)を有力候補として検討しました。速度もセキュリティも、理屈のうえでは静的サイトに分があります。正直、途中まではそちらに傾いていました。
それでも最終的にWordPressに残しました。決め手は、性能そのものではなく「作った後、誰がどう運用し続けるか」でした。ここを外して技術の新しさだけで選ぶと、後で自分の首を絞めます。
WordPressに残した3つの理由
- 保守・運用がしやすい——情報も事例も豊富で、困ったときに調べれば答えが見つかる。運用が「特殊技能」にならない
- 更新を人に任せられる——管理画面から文章や画像を差し替えられるので、専門知識がなくても更新できる。私以外の人に運用を渡せる
- 触れる人の層が厚い——扱える制作者・エンジニアが圧倒的に多い。将来ほかの人へ引き継ぐときに困らない
静的サイトは速くて堅牢ですが、更新や機能追加のたびに専門知識が要る場面が増えがちです。「更新のたびに、それを扱える人を探さないといけない」状態は、中小企業にとって静かなリスクです。作った本人が離れた瞬間に止まるサイトは、性能が高くても事業の武器になりません。
「速度・セキュリティが弱い」は、運用設計で対処できる
WordPressをやめる理由として真っ先に挙がるのが、速度とセキュリティです。これは弱点として実在します。ただ、道具の弱点であって、対処できない欠陥ではありません。このサイトで実際にやっている対処を挙げます。
- 速度——Cloudflare(世界中に配置された高速な配信網)でページをキャッシュ(複製を手前に置いて速く返す仕組み)。この構成で、表示が始まるまでの時間(FCP)は実測1.3秒
- 不正アクセス対策——WAF(怪しい通信を入り口で弾く防御)と、ログインの試行回数制限で、乗っ取りの入り口を塞ぐ
- 万一への備え——毎月の自動バックアップで、何かあっても前の状態に巻き戻せる
つまり「WordPressは遅い・危ない」の多くは、WordPressそのものの限界ではなく、運用設計をしていないことの結果です。素のまま置けば遅くて危ない。手を入れれば、中小企業のサイトとして十分な速度と安全性になる。道具の問題を運用で解く——ここが実務者の答えです。
◯ WordPressが向く
自分や社内の人が更新する
ブログ・お知らせを継続して出す
将来ほかの制作者に引き継ぎたい
運用を特殊技能にしたくない
△ 静的サイトも選択肢
更新がほぼ発生しない数ページ
更新は制作者に都度頼む前提
極限の表示速度が最優先
扱える人が身近に確保できている
では、WordPressをやめた方がいいのはどんな時か
公平のために、やめる(選ばない)判断が妥当なケースも書きます。更新がほとんど発生しない数ページのサイトで、しかも更新は制作者に都度頼む前提なら、WordPressの一番の強み(自分たちで更新できる・運用を任せられる)は活きません。この場合、より軽くて堅牢な静的サイトのほうが素直です。
逆に言えば、「自分たちで更新したい」「将来ほかの人に運用を渡す可能性がある」なら、WordPressの優位は2026年でも揺らぎません。判断軸は流行り廃りではなく、運用の主体が誰かです。
正直な注記:新しさに飛びつくのも、古さを嫌うのも、同じ罠
正直に言えば、私も検討の途中までは新しい技術の魅力に引っ張られました。ただ、「新しいから良い」も「古いからダメ」も、道具そのものだけを見ている点で同じ罠です。大事なのは、あなたの事業がそのサイトをどう使い、誰が運用し続けるのか。そこから逆算すれば、答えは自然と決まります。
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